
通勤・通学や旅行、買い物など、日常生活でリュックを使う機会は多くあります。両手が自由になるため便利で、肩への負担を分散できると考えられているリュックですが、「リュックを背負うと腰が痛くなる」「通勤で毎日使っていたら腰痛がひどくなった」という声も少なくありません。
この記事では、リュックと腰痛の関係について、原因や対策、リュック選びのポイントや正しい背負い方、さらには日常生活でできる腰痛予防習慣について、解説します。
【この記事で分かること】
- リュックが腰痛の原因となる理由
- 腰に優しいリュックの条件と選び方
- 正しい背負い方と日常でできるケア方法
リュックは腰痛に良い?悪い?

結論から言えば、リュックは正しく選び、正しく使えば腰痛の予防につながる一方で、間違った使い方をすれば腰痛を悪化させる原因にもなります。
リュックの良い面
- 両肩でバランスよく荷重を支えられるため、片側にかけるバッグより姿勢が崩れにくい
- 手が自由になるため、体全体の動きがスムーズになり、腕や肩に余計な力が入りにくい
- 背中に密着させて背負えば、腰や背中の筋肉をバランス良く使える
リュックの悪い面
- 荷物を詰め込みすぎると体重の数割を占めるほどの重さとなり、腰や背中に過剰な負担を与える
- ストラップが長すぎるとリュックが背中から離れ、猫背や前傾姿勢を誘発する
- 荷物の重心が片側に偏ると、腰をねじったような姿勢が続き、筋肉に負担が集中する
このように、リュックは「選び方や使い方を間違えると腰痛を悪化させる」可能性があるのです。
リュックが腰痛を悪化させる原因

リュックが腰痛を引き起こす、または悪化させる原因は意外と多いものです。
リュックを利用する際は以下の点に注意する必要があります。
重量オーバー
リュックに荷物を入れすぎてしまうと、体全体に負担がかかります。一般的に「体重の10〜15%以内」が目安とされ、60kgの人であれば6〜9kgが限界ラインです。これを超えると腰椎や筋肉に強い負荷がかかり、腰痛のリスクが高まります。
ストラップの調整不足
ストラップが長いまま背負うとリュックが腰から離れ、重さを肩や背中だけで支えることになります。これが猫背や前傾姿勢を招き、腰痛だけでなく肩こりや首の痛みの原因にもなります。
荷物の偏り
左右どちらかに偏った荷物の入れ方をすると、体が自然と歪みます。その結果、腰の片側に大きな負担が集中し、慢性的な腰痛を引き起こします。
背中とリュックの隙間
リュックが背中にフィットしていないと、歩くたびに揺れ動き、腰や肩に負担をかけます。密着していない状態は重さを均等に分散できないため、痛みにつながりやすいのです。
正しいリュックの背負い方と荷物管理

リュックを選んだら、次に大切なのは「背負い方」と「荷物の配置」です。ここを間違えるとせっかくのリュックも逆効果になってしまいます。
ストラップの長さ
リュックの底が腰骨の位置に来るように調整しましょう。短めに調整して背中に密着させると重心が安定します。
荷物の配置
- 重い荷物は背中側の中央に
- 軽い荷物は外側や上部に
- 荷物全体は「必要最低限」にまとめる
こうすることで体のバランスが崩れず、腰への負担を軽減できます。
休憩をはさむ
長時間の通勤や旅行では、定期的にリュックを下ろして休憩を取りましょう。10分程度の休憩を挟むだけでも腰の疲労感は大きく変わります。
日常でできる腰痛予防ケア

リュックだけでなく、日常の習慣も腰痛に大きく関わります。
腰痛を引き起こさないためにも以下の点に注意する必要があります。
ストレッチ
帰宅後に腰や太もも、肩甲骨まわりのストレッチを行うことで、筋肉の緊張を和らげられます。特に腰椎周辺の筋肉を緩める「膝抱えストレッチ」や「キャットアンドカウ」はおすすめです。
デスクワーク中の姿勢改善
長時間座り続けると腰に大きな負担がかかります。30分に一度は立ち上がって体を動かす習慣を取り入れましょう。
体幹トレーニング
ドローインやプランクなどの体幹トレーニングは、背骨や骨盤を安定させる筋肉を強化します。体幹がしっかりしていると、リュックの重さを支えやすくなります。
睡眠環境の改善
硬すぎるマットレスや柔らかすぎる枕は腰痛を悪化させます。腰への負担を減らす寝具を選ぶことも大切です。
ツボ押しによるセルフケア
東洋医学の視点では、腰痛の改善にはツボ押しも有効とされています。
ツボ押しは自宅で簡単にできるセルフケアのひとつです。痛気持ち良いと感じる強さで、1回につき10〜20秒ほどじんわりと押してみましょう。
詳しいツボの位置や押し方については、当院ブログの記事で解説しています。
https://olive-sinkyuseikotsuin.com/blog/youtsu-tsubo/
リュックと腰痛に関するよくある質問
Q1. 腰痛持ちにおすすめのリュックは?
軽量で背中に沿う縦長デザイン、幅広ストラップ、背面パッド付きのリュックが理想です。通勤・通学用なら800g以下のものを選びましょう。
Q2. リュックは何kgまでなら大丈夫?
体重の10〜15%以内が目安です。体重60kgなら6〜9kg程度に抑えるのが安全です。
Q3. 腰痛持ちでも通学でリュックを使って大丈夫?
正しい背負い方を意識すれば問題ありません。ただし教科書や荷物が多い場合はロッカーを活用したり、キャリーケースと併用するのがおすすめです。
Q4. リュックとショルダーバッグではどちらが腰に優しい?
両肩で荷重を分散できるリュックの方が腰に優しい傾向があります。ただし、荷物の量や使い方によってはリュックでも腰痛を招くことがあります。
まとめ

腰痛は、原因や生活習慣によって現れ方や対処法が異なります。
リュックの選び方や背負い方を工夫することは、日常生活の中でできるセルフケアのひとつとして非常に有効です。
荷物の重さを見直したり、ストラップの調整を意識したりするだけで、腰への負担は大きく変わります。さらに、ストレッチや体幹トレーニングを取り入れることで、腰痛の軽減や再発予防にもつながります。
それでも症状が改善しない場合や、痛みが強くなっていく場合には、整骨院に相談することをおすすめします。